栢森日記

日記だけど不定期です

証明が必要だった

自分が無能ではなくて、生きていても許されるんだという証明が必要だった。そうでもしなければ、ただ息を吸って吐いていることだけでも許されないことのような気がした。

今よりだいぶ若い頃の話である。

 

自分には何もできないのだと思って日々を過ごしていたが、テストの点数で順位付けされ、初めて自分の客観的立ち位置が明らかにされた。その時私は、これしかない、勉強が誰よりもできるようになる以外に、許される道はない。これで証明するしかない。そう考えた。

 

一度思い込んだことはなかなか覆せなかった。たとえ客観的な指標で、自分がそんなに優秀ではないことを目の当たりにさせられても、それでもなお何か特効薬のような方法があって、自分が優秀であることをいつか証明できるはずだと思っていた。

大学でやりたい学問をやろうとしても、もとが優秀ではないので、特にものにならなかった。

 

ただ、少しずつできることが増えていったことで、自分もそれほど無能でもないと感じるようにはなった。そのうち、生きていてもいいんだと思えるようになった。

 

もう証明はいらなくなった。生きていることを自分が許したのだから。